高品質の印刷とは? (2012年5月掲載)

 常日頃から「良い物を納品したい」という気持ちで取り組んでいるつもりでも時々“良い印刷物”ってなんだろう?・・と考えてしまう事がある。

 技術的に言えば『網点(階調)の再現性』や『色のバランス』等が基準になるのだろうけど実際に仕事をしていると必ずしもそうとは限らない場面がわりとある。

 用途によって求められる物が違ったり、お客さんの好みもある。
原稿の状態によっては「再現性」が無い方が良い場合もあれば、赤や青がオーバー気味のバランスの崩れた色味を好むお客さんもいる。

 こちらが「マズマズの出来上がり」と思ってもお客さんが納得しなかったり、逆に「不十分の出来上がり」と再修正を覚悟しているとお客さんが大満足だったりとなかなか難しいものである。

 中には目的が共有できずに何の為にやっているのか?というものもある。
 昔やっていた「上場企業」や「大手代理店」の仕事はそういうものが多かった。
「担当者の好みや保身」「代理店の傲慢」「デザイナーの無駄なプライド」・・・。
どうでもよい事に心を砕かなければいけないから大変な割りにやりがいが無い。

 例えば初校で良いものを出しても担当者や代理店の連中は仕事をした気分になりたいからどうでもよい事に難癖をつけて引っ掻き回す。
結局さんざん手間と時間をかけた挙句に初校と似たようなもので校了になる。

 なので初校の時にわざと隙を作って担当者に指摘させて仕事した気分になってもらう事で大きな混乱を避けていた。
こんなことばかりしているとバカらしくなる。


 それに比べて今のお客さんの多くは理解がありこちらの意見を聞いてくれる。
純粋に用途に合った印刷物が納品できれば良いのだ。
目的がハッキリしてその事に集中できてやりやすいと思う。


 少し話が逸れたが「良い印刷物」とはお客さんの役に立つ印刷物。
販売促進なり日常業務なりで役に立っている印刷物だと当たり前のことに行き着く。
担当者の個人的好みや制作者の自己満足ではない。

 もちろん同業者や職人・オペレーター同士での評価はある。
他社の印刷物をサンプルとして見たりするとおおよその事は想像できる。

 でもそれは内輪の評価でお客さんには関係ない。

 お客さんの希望と用途を理解しながら印刷物を作る。
少しでも使いやすいもの、販促効果があるものを心がける。
「良い印刷物」「高品質の印刷物」とはそういうことだと思う。

 印刷は受注産業、芸術品を作っているわけではないのだから、自己満足や内輪の評価で満足しても始まらない。